2025/4/1

修了制作展「バベルの所蔵庫」

本展のタイトル「バベルの所蔵庫」は、ホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges:1899-1986)の『伝奇集(Fictions:1944)』に収録される短編小説『バベルの図書館』に由来します。そこでは一冊400ページ、1ページ40行、各行80字という同じ体裁の本が、アルファベット22文字と空白、句読点のみで組み合わせられ、過去や未来の書物さえも内包するとされます。実際、その大半は無意味な文字列ですが、わずかに読解可能な書物も含まれ、ボルヘス自身の著作さえそこに蔵書されると示唆されるのです。

本展では、画像生成AIが出力したイメージを基に作品を制作しています。その中心モチーフとしたのは保護・輸送用のクレート箱で、AIの学習データセットの不透明性、つまり“中が見えない”点を象徴させるためです。

作品では、AIが生成したクレート箱のイメージを銀箔の硫黄変色によって描いています。変色が速い銀箔の作品を保護するため、AIが生成したクレート箱のイメージを再現した立体作品を用いています。

また、イメージ生成に使ったプロンプトは「『何かと書かれた美術作品を梱包しているクレート箱』と書かれた美術作品を梱包しているクレート箱」で、生成イメージにプロンプトの一部を描かせるを目的とし、物理的に再現したクレート箱には全文を刻みました。

ボルヘスの図書館が示すように、このプロンプトはAIという所蔵庫から、私が選ばなかったイメージすら尽きることなく生みだし続けます。クレートの内部には、私たちの知り得ない膨大なビジョンがひそかに堆積し、増殖しているのかもしれません。こうした無限の可能性を想像することで、急速に進化するAIがもたらす時間性や、その根底にある不透明性について考察する一助となれば幸いです。

和田 竜汰 Chat-GPT o1

2024年度 東北芸術工科大学 卒業/修了研究・制作展
Tohoku University of Art & Design
Graduation Research & Project Exhibition 2024
会期 2025年2月6日(木)→2月11日(火)
時間 午前10時〜午後6時(学生食堂 午前10時半~午後5時)
場所 東北芸術工科大学キャンパス(入場無料)